あかいろのしずく
遡る事三十分と、少し前。
まだ夜中の三時まで十分を残して、西平は俺の問いに答えた。
「純の彼氏のミナトくんだとは思ってるんですが、何も証拠がなかったんですよ」
やはり、西平はミナトのことを知っていた。そして最も純を自殺に追い込んだ可能性が高いと踏んでいた上で、俺達を誘拐したんだ。
ということはつまり、もし俺が全てを話していたら、西平は真っ先にミナトに手を下していただろう。証拠。それを集めるために西平はこんなことを。
「自分のせいだとは思わないのか?」
「......。はい?」
「純と関係があったんだろ、何か。それが却ってあいつの重荷になったとは思わなかったのか、って聞いてるんだ」
西平は少し考える素振りを見せてから、言った。