広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
★★★
待ちに待った昼休み。
弥生と食堂に来ていた。
「いただきまーす!」
私の前にはお弁当と、食堂の一番人気メニュー・カレーライス。
もちろんどちらも私一人で完食する予定だ。
「んー、おいしい!食堂のカレー大好き」
具は煮込まれてあまり形が残っていないとろとろカレー。
コクがあって、辛さの中にほんのり甘味を感じて、本当においしい。
そしてお父さん特製のお弁当は、私の大好物のミニハンバーグがメイン。
これも最高だ。
こうして美味しく食べていると、さっきの授業中の恥ずかしい思い出がふんわり浄化されていく気がした。
「あは。和花って本当に幸せそうに食べるねー」
くすくす笑う弥生の前には天ぷらそば。
弥生はとてもきれいな箸づかいでそれをゆっくりと食べている。
私は弥生の食べる様子が好き。
丁寧に食べる仕草はなんだかとても美しい。
「だって本当にお腹すいていたんだもん。もう最後の10分なんて地獄の思いだったよ」
「和花の腹のおと、バッチリ聞こえてたよ」
「知ってる。弥生、笑ってたもんね。あー、やっぱり恥ずかしい!……広瀬くんにも聞こえてたかな?」