ただひたすらに君が好きだ
俺は近くの自販機でスポドリを購入し、珱の頬へとくっつける。

「ひぇっ」

「脱水するぞ」

「かたじけない」

「うむ、苦しゅうない」


ひひひっと笑いスポドリに口をつける珱。


「晴も部活やれば良いのに。楽しいよ?」

「だるいし気楽だから良いよ。このままで」

「ふぅん」



ごくごくとスポドリを飲み干し立ち上がる。


「青春しよーぜ晴。まだまだこれからだよ私達」

「青春なぁ…特にやりたいこともないしな」

「後悔ないように生きないとね」


ペットボトルをゴミ箱に投げ、歩き出す珱。その足が突然止まる。


「珱?」


なんだか不自然な様子に声をかける。


「……っ……」


膝から崩れ落ちる珱。


「おい!!!」

「は……る……」


胸を押さえ、苦しそうな声を出す。顔色がどんどん悪くなり、瞳に涙がたまる。

その状態に混乱しかなく、彼女の伸ばした手を握りしめた。

その様子に他の部員や教師も気づき、駆けつける。


「救急車!!」

「おい!井戸川!!」

飛び交う声。焦る人々。


しばらく苦しんでいたが、突如力が彼女から抜ける。


「珱…?」


自分でも声が震えているのが分かる。

何が起きている?

どうしてこうなった?



< 4 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop