やっぱ、お前は俺じゃなきゃダメだろ


「要君ってどんな感じだった?」

朋世が尋ねると、母は「そりゃぁ……」とうっとりした表情を見せた。

「背がスラーっと高くて、アイドル顔負けのイケメンで、礼儀正しい好青年だったわ。おまけに、有名進学校の制服を着ていたから頭も良いのね!お母さんがもう少し若かったら好きになっていたわ……」

母は完全に彼の(とりこ)になってしまっていた。
父の前でも見せた事がない少女の顔。
身内のそんな表情を見るのは一緒にドラマのキスシーンを見るくらいいたたまれなくて、朋世は「お母さん、少しじゃないから……」と夢を叩き割った。

「んまぁ!可愛くない!」

母は娘のツッコミにプリプリと頬を膨らませてキッチンへ入る。


有名進学校の制服を着たイケメン――…


朋世は“要君”の姿を思い浮かべながらソファーにゴロンと横になった。

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