仮想現実の世界から理想の女が現れた時
うちから暁里の家までは、車で15分程。

マンションの前に停車して携帯を鳴らす。

『はい。』

「暁里? 今、着いた。
下にいる。」

『はーい。今、行きますね。』

暁里がすぐに分かるように、俺は車を降りて待つ。

今日も暁里はパタパタと駆けてきた。

「こんにちは。
今日も暑いですね。」

「くくっ
うん、暑いな。」

思わず笑みがこぼれる。

なんだ?
この主婦がご近所さんに会ったみたいな挨拶。

「?
私、変な事、言いました?」

「いや、至極、真っ当な挨拶だったよ。」

きっといい家庭で育ったんだろうな。

おばさんくさい挨拶がかわいく思えるなんて、俺は変なのか?

「なんで笑ってるんですか?」

「くくっ
いや、何でもない。
飯、行くか?」

「はい。」

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