仮想現実の世界から理想の女が現れた時
俺は立ち上がって、瀬名のもとへ向かう。

「瀬名、そろそろ飲み過ぎだぞ。
もうやめとけ。」

「えぇ!?
いいじゃないですかぁ。
部長と一緒ならいいって言いましたよね。」

ご機嫌な瀬名は、石原にネイルを褒められたのか、爪を見せるように石原に手を握られていた。

「ほら、もう十分酔っ払いだろ。
帰るぞ。」

「え?
瀬名さん、帰っちゃうんですか?
俺、送ってくから、もう少し飲みましょうよ。」

引き止める石原に俺が何か言う前に、瀬名が口を開いた。

「ヤダ。
部長と帰る。」

「え?
もしかして、2人付き合ってるんですか?」

石原が驚いたように俺と瀬名を交互に見比べる。

「まさかぁ。
部長は"鬼"だから、人は好きにならないん
ですよ〜」

瀬名は石原の手に握られてた右手を上げて、大きく振った。

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