おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
リンネのけがが完治したのはそれから2ヶ月後のことであった。
やっと、医者から部屋から出てもいいという許可を貰えたリンネが一番最初に訪れたのは隣の部屋、エリックが寝ている部屋だった。

毎日、毎日身の回りの世話をしてくれるマリアにエリックの容態を聞いていたのだが、返ってくる答えはいつも同じで「まだ、お目覚めになられません」だった。
実はもう目を覚ましていて驚かせようとしているのではないかと最初の頃は考えていたリンネだったが、それにしては一切会いに来てくれないし、マリアの口調からも本当のことなんだと思わざるをえなかった。

「ねぇ、マリア?
今の格好変じゃないかしら?
久しぶりにちゃんとしたドレスを着るから違和感しかないわ」

不安そうに聞いてきたリンネに「大丈夫ですよ、エリック様の元に行ってらっしゃいまし」とマリアは笑顔で告げた。

「ありがとう。
あと、私が落馬していた日に持っていた濃紺色のレースのハンカチってどこにあるかしら?」

最初は濃紺色のハンカチなんてあったか、と考えたマリアであったが、すぐにあったことを思いだし、机の引き出しからきれいにたたまれたハンカチを取りだし、リンネに渡した。

リンネは笑顔で「ありがとう」とお礼を言うと、ハンカチを手に握りしめたまま隣の部屋へと歩みを進めた。
< 36 / 154 >

この作品をシェア

pagetop