君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

 何で、頭が真っ白になったと思ってるんだよ。

 そんなこと、茜には、今は言わないけど。


「茜がいきなりステージに薔薇放り投げたりなんか、するからだろ」


「なんだよ、そう。タケが薔薇がいいって言うから、俺こっぱずかしいの我慢して花屋にまで行ったのに!」


 なぁ、タケ!そう続けて茜はにっこりと俺に笑った。

 だから、「欲しいと入ったけど、俺に向かって投げつけてなんていってないよ」と何とか普段の調子で返答を返した。

 きっとへらへらと、いつもの甘えた子どもの口調で笑えているはずだ。

 
 そうでなければ、ならない。



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