君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

いつもどおり、予備校へと向かって歩いていた、俺の耳に、とても美しいメロディが飛び込んできた。


 ギターが音を織り成していると言うよりも、その、美しすぎる歌声が音を創りあげているかのようで、


 当時中学三年だった俺は、気づけばその場に立ち尽くしてしまっていたんだ。
 



 いつもの街角で歌っていた、見知らぬ二人組みのきれいな男。



 それが、俺、武原景太と、

 茜と高藤創、

 彼らとの出逢いだった。





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