君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

 くどいようだが、本当に美羽のことは嫌いじゃない。

 キスも出来るし、セックスもしようとした。
 それでも、その時一瞬、茜の顔が脳裏に浮かんでしまって。

 おれは本当に吐いてしまって、結局セックスは出来なった。


 美羽はそのことについて、おれを責めはしなかった。

 「大丈夫?無理しないでね」そう大きな瞳を潤ませて、囁いてくれた彼女をおれは唯抱きしめた。

 
 愛おしかったと言うよりかは、茜の残像から逃げ出したかっただけだった。




 茜に、欲情した、と言う事実がおれに深く突き刺さった。




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