君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

 たぶん、3人でこんな風に飲むのも、会うのもほぼ半年振りといっても良い。

 茜は、久しぶりのこの集まりに必要以上にはしゃいで見せている。
 創も全く、半年前と変わらない。当たり前のように家を提供して、少しだけ困ったように笑いながらも、それでも楽しそうにビールを手にとっている。

 以前と同じ。変わってしまったのは、俺だけ、なのだろうか。


 酔っ払ってしまいたかった。何も考えたくない。

 そうすれば、昔に戻れるのだろうか。



「……タケ、お前ひどい顔してるぞ」


 創が囁くように、そう言う。
 俺は何も返せなかったけれど、創は気にした様子は見せなかった。かわりに「なぁ」と袖を引く茜の話相手に戻っていった。

< 258 / 395 >

この作品をシェア

pagetop