君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

「大丈夫だから。じゃあな」


茜の声が聞こえなくなって、機械音が耳に届いた。




もし、過去に戻れると言うのなら、おれはこの日に戻して欲しいと願うだろうと、今思う。


なんで、茜に『好きだ』って伝えられなかったんだろうって。

なんで、言えなかったんだろうって。


もしそうできていたのなら、少しは違う今があったのだろうか。


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