君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―


 昔から異常なほどに自分に自信が持てなかった少年に、流れに逆らってまで生きることは、とても、厳しいものでしかなかった。


 そして、その厳しさを、受け止める力も、その少年には、なかったのだ。



 いつまでも回避を続けて、生きていく。

 それが、自分にとって続く未来だと、そう思い込んでいた。




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