約束のエンゲージリング


「あの頃の私はまだまだ子供で、マサさんの事何にも分からなかったし自分の気持ちを押し付けるばかりで、分かろうともしなかった。この歳になってようやく気づくなんて本当に馬鹿だよね。」

「、、馬鹿とかじゃないよ。それだけ想いが強くなってるって事。相手を思いやる事ができるなんて凄い事だから。千佳はそれだけマサ君のことが本当に好きなんだね。」

「うん、、好き。だから分かるの。その最後に付き合ってた恋人と何かあったんだって。沙羅姉、、2人に何があったか知ってる?」









遠慮気味にそう尋ねると、渋い顔で呟いた。




「、、、うん、知ってるよ。でも本当に知りたい?マサ君の過去。」

「知りたいよ。だってそれが原因で前に進めないんだとしたら凄い悔しいから。」






彼が好きだからどんな過去があったとしても受け止めたいと思った。

真っ直ぐ沙羅姉を見つめると、溜め息をついた沙羅姉が口を開いた。







「、、いいよ。ただし私が知ってる範囲だけね?マサくんが24歳の年から9年間恋人だったその人は、フラワーショップ牧野によく花を買いに来る綺麗な人でね?元々お客さんだったの。」

「9年間も、、?」






想像していたよりも長い年数でショックを隠しきれない。

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