Legal office(法律事務所)に恋の罠 *番外編~ジェラシーは内密に~
スムーズにパーティが開始され、主賓のファン氏の挨拶が始まった。

舞台袖の一角、奏と和奏は並んで立っていた。

「和奏、もしかして・・・俺のこと避けてるの?」

「しっ、無駄話をしてるってわかったらただではすみませんよ」

嗜める和奏の前に、一人の女性が立つ。

「あら、奏くん、今日も格好いいわね」

鬱陶しい奴が来た、と表情が強張る奏だが、

フフン、と顎をあげた紫織が、腕を組んで和奏を見上げる。

「夢谷・・・弁護士・・・。あなたが奏くんのフィアンセですって?私は認めないわ」

「・・・そうですか。ご自由にどうぞ」

「ご自由にって、和奏・・・!」

会場に盛大な拍手が巻き起こる。

Mr.ファンの挨拶が終わったのだ。

「どんなことをしても邪魔するから」

「・・・はいはい」

物騒な紫織の言葉を軽く流す和奏の意図がわからない。

表情からは、怒っているようには見えない。

むしろ何とも思っていないように見える。

"もう、俺のことなんてどうでもいいのか"

悲しさにどうにかなりそうだった・・・。

いつも自信満々奏の、珍しく弱気な表情に、紫織がニヤリとほくそ笑んでいるのが見えた。

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