片想い同盟


教室に入るなり私の顔を見た拓海は、そう言って苦笑した。


昨日の泣きすぎで腫れてしまった目を誤魔化すかのように、今日はいつもしているコンタクトはやめてメガネ。


目が腫れた理由を知っているからこそ、拓海は私のこのメガネスタイルに一言いってきたんだろう。


……でも、今回ばかりは拓海には言われなくない。



「俺?俺はいつもどおりだけど?」

「よく言うよ。拓海だってひどい顔してる」


目の下にはうっすらクマもできてるし、髪だって襟足跳ねてるし、なにより口角がうまく上がりきってない。


……拓海も、たぶん昨日一晩でいろいろ考えたんだろう。



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