片想い同盟
「あ、やべ。売店混んできた。じゃ、遠山さん。またね。焼きそばパンゲットしてくるよ」
「ふふっ。うん、またね、優希くん」
お昼ご飯ゲットにごった返し始めた売店を見て、優希くんは慌ててその人混みの中に入っていった。
ほんの少しの時間でも彼と話せたことに、頬が緩む。
自動販売機で自分が飲みたかったストレートティーと、ついでにサイダーを買った。
「はい、あげる」
「あ?なんだよ急に」
教室に戻った私は、買ったばかりのサイダーを前の席の男に差し出す。
「謝礼」
「は?」
「いいから受け取って。私の気持ちが変わらないうちに」
はい、ともう一度グイッと差し出すと、拓海は首を傾げながらもそれを受け取った。
シュワシュワとはじけるその透き通った飲み物を、やつは美味しそうに飲み出す。
「杏がタダでジュース奢ってくれるとか、明日は雪だな」
「失礼ね。じゃあ返しなさいよ」
「やーだね。もう飲んじまったもんは返せねぇよ」
べ、と舌を出す拓海に、頬を膨らませる。
全く。せっかく人がお礼の気持ちを込めて買ってあげたというのに。人の気も知らないで。