片想い同盟
この日に日に強くなる愛おしさとか、独占欲とか、杏の言動ひとつひとつで気分が一喜一憂するところとか。
杏への気持ちを自覚してから、これまで自分でも知らなかった感情が次々に顔を出してくるんだ。
「………」
「………」
お互い喋らず、けれど手を離すこともなく、ただただ帰路を進む。
杏の下駄の音が、やけに響いてるように感じてしまう。
「あのさ」
少し速度を落として、杏と横に並んだ。
横を見下ろすと、杏も俺を見上げている。
「お前が友達と一緒にいたから、だから」
「え?」
主語のない俺の言葉に、杏は首を傾げた。