片想い同盟


我ながら、ちょっと意地悪だったか。


でも、俺だってお前にドキドキさせられたんだから、これでおあいこだろ。


照れる杏に追い打ちをかけるようにもう一度「可愛いよ」と告げると、今度はキッと睨まれた。


そのくせ、繋いだ手は離さない。


……ほんっと、可愛いやつめ。



もう少しグラグラ揺らして、その気持ちを完全に俺に傾けたい。


あれだけ一途に想っていた杏の気持ちを、自分に向けるだなんて、簡単じゃないことはわかってるけど。

でも、諦めるつもりもないから、やるしかない。



照れながら怒ってる忙しい彼女を眺めながら、俺たちの夏祭りは終わりを告げた。


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