片想い同盟
好き。それでもその想いが実ることはない。
それがわかっていても、好きなのはそう簡単にやめられない。
この葛藤をしているのが私だけじゃないとわかっただけでも、大きなことだ。
「何かあったらいつでも相談してよね」
「ばーか。それはこっちのセリフだっての」
男の子もこんな風に恋をすることを知ると、なんだか拓海でも可愛く見える。
さっきまで重かった空気も、少し軽くなった。
「そういえばさっきの奢りなくなっちゃった」
「お前がいらないって言ったんだろ」
「だってあのときは仕方ないじゃない!」
「あーはいはい。気が向いたら奢ってやるよ」
呆れ顔を浮かべながらも口角を上げた拓海に少し安心した。
私もつられて笑いながら、私たちは教室へと帰っていったのだった。