片想い同盟



「私と拓海は友達。同じ中学だから家も近所なだけ。それ以上でもそれ以下でもないよ」

「なによ、その態度。ちょっと顔がいいからって調子に乗らないでくれる?」

「は?」


ただ拓海との関係を答えただけなのに、彼女たちはムッとしてさらに突っかかってきた。


めんどくささ極まりなくて、思わず低い声が出る。



「……態度が悪いのはどっちよ」


ついでにポロっとそんな言葉が出てしまって、しまったと思ったときにはもう遅かった。


次の瞬間には、ドン、と肩を強く押され、思いっきり尻もちをついてしまう。



「ったぁ〜……」

「フンッ、いい気味よ」


急な衝撃に顔を歪めた私を見て、彼女たちは満足したのか去って行く。


そんな心狭いであろう4つの背中を眺めながら、やれやれと息を吐いた。



< 60 / 341 >

この作品をシェア

pagetop