結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


でもさ?


「わたしになにかする男子なんて、いないと思うよ?

だって、こんな不細工に近づく人なんていないでしょう?」



全然美味しそうじゃない食べ物をあえて選んで食べないことと一緒じゃない?



だって、わざわざ美味しそうに見えないものを食べようとする人なんていないでしょう?



「この無自覚鈍感娘が……」



あやちゃんは何故か頭を抱えて俯き、次の瞬間急に顔を上げてかなりの勢いで怒り始めた。



「ゆき!

あんたはそろそろいい加減自覚しないさい!

あんたはそこらにいる女子より断然可愛いの!

そんなあんたを狙ってる狼共はいーっぱいいるんだから!」



「そんな訳ないよー。

わたしよりほかの女の子たちの方が断然かわいい!

羨ましいぐらいだもん!」



わたしがあやちゃんに負けず劣らずの勢いで言うと、あやちゃんは何かを言うことを諦めた模様。



「はぁー、そうだ。

ゆきはそういう子だもんね。

何言っても自覚するわけないか…」



なんだか分からないけど、あやちゃんはこの日はずっと脱力感が半端じゃなかった。



あやちゃんの脱力の原因がわたしなんて、わたしは知らなかった…


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