結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。
「あいつは……」
やっぱり聞かない方がよかったかな。
だって結城くん、言おうか迷ってる顔してるし。
わたしがあんまり踏み入ったことを聞いちゃダメだよね。
「結城くん、やっぱりいい…」
「こっち来て」
「え?」
言わなくてもいいって言おうとしたら、結城くんにまた腕を引っ張られ近くの公園に連れていかれた。
「ここ座って」
公園の中のベンチに結城くんと一緒に座る。
すると、結城くんはぽつぽつと語り始めた。
「さっきの奴、中学のとき関係持ってた女。
関係って言っても体だけの関係だったけど」
下を向いて話してるから結城くんが何を思って話してるのか分からない。
「中学のときの俺、結構荒れててさ。
街歩いてたときにあの女に声かけられて、むしゃくしゃしてたから溜まったもん出すためだけに相手した」
結城くんが荒れてたなんて初めて知った。
結城くんとの距離が縮まったと思ってたけど、まだまだわたしが知らないことがいっぱいあるんだ。
「それからいろんな女と関係持つようになって、気づいたら俺は来る者拒まず去るもの追わず。
関係持った女なんて数え切れないぐらいいた。
ヤったらそれで終わり。
ヤったからって彼女気取りする女は容赦なくばっさり捨てて、割り切れる関係を保てる女だけと関係を続けてた」
さっきの女もそれを了承してお互い利用し合ってた、と言った結城くん。