結城くんが学園王子の仮面をはずしたら。


淡々と話している結城くんだけどわたしは気づいたの。



結城くんの声と体が震えていることに。



その姿は今にも消えてしまうんじゃないかと思ってしまう。



「高校入ってからは、心入れ替えるために関係持ってた女とは全て関係を切ったけどさ……。

どう?引いただろ?」



震えてるくせに無理に笑顔なんて作って…



「結城くんのバカ!」



ほんとに大バカ!



「だよな。俺ってやっぱ…」


「なんで辛いくせに無理して笑うんですか?!」


「え?」


「わたしの前でそんなふうに笑わないでください!

辛いなら辛いって言ってください!

わたしを頼ってください!」



結城くんが無理して笑うところなんて見たくないよ…。



そんな笑顔、結城くんには似合わない……



「ゆきは俺の話し聞いて引かねーの?」


「わたしは結城くんから離れていったり引いたりなんてしませんよ」



結城くんにどんな過去があろうとわたしは結城くんが好きだから。



わたしから離れることなんてある訳ないもん。


ましてや引くなんてそんなことしない。



「ありがとな」



そうどこかスッキリしたような、だけど弱々しい笑みを浮かべて結城くんは言った。







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