似非王子と欠陥令嬢
キャロルは魔術師会の怒号を片手で止める。

「…お聞きの通り今現在を持って私キャロルは魔術師会を破門致しました。
昨日付けでワインスト家からも除籍しております故、ここからは一平民として続けさせて頂きます。」

キャロルは口角を上げた。

「革命と言えば平民が王族の首を取りに行く物にございます。
私も既に禁術の使用と王太子殿下に危害を加え首を差し出す身。

……エバンネ王妃陛下にもその首差し出して頂きましょうか。」

「無礼な!!
あの罪人を引っ捕らえよ!!!」

王妃が叫ぶが誰も動かない。

リアムが見張りの兵を減らしキャロルが魔術を施し動きを封じたからだ。

「話は最後まで聞いてからと先に伝えましたでしょう?
…さあ首取り合戦と行こうではありませんか。」

キャロルは扉を蹴り開け兵に捕えさせていた人物を広間に蹴り入れる。

その人物は気絶しているのか動かない。

王妃の瞳が微かに揺らぐ。

「時渡りをして見たのがこの方でしてね。
ご存知でございますよね王妃陛下。」

「…えぇ勿論。
私の弟アルバートですわ。」

これはリアムが隣国まで行き連行して来てくれた証拠。

「その通りでございます。
アルバート様の部屋を漁った所陛下からの文が沢山見つかりまして。
さすが御姉弟。
お互いに自分の罪になりえる物だけ処分なさるとは。
お陰様で証拠が山の様に見つかりましたよ。」

キャロルは羊皮紙を手に取る。

レオンがアルバート公の住居から見つけてくれた王妃の手紙だ。

「王妃陛下が禁術の使用をアルバート公に命じた際の文でございます。
消印、蝋印、筆跡。
全てご確認下さいませ。」

国王と宰相が競うように文を捲る。

王妃がでっち上げだと騒いでいるがキャロルは次の物を手に取った。

「その裏付けとなります証言がございます。
私が魔力暴走を起こした日、ワインスト家付近でアルバート公の黄金色の瞳をした人物を目撃した方がいらっしゃいました。
その瞳は隣国の王家男児の証。
手紙と合わせてアルバート公が王妃陛下の命で時渡りを行った証拠となります。」

アンジェリカとアルブスが集めてくれた目撃者。

目が特徴的だったからか見ていた人物は少なからず存在していたのだ。

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