似非王子と欠陥令嬢
「こっからはもう本当に噂でしかないんだが…」

レオンはチラリとルシウスを見る。

言うべきか悩んでいるらしい。

「噂で構わないよ。
あくまで噂だと受け取めるから教えて。」

「…なんというかその…一言で言えば超危険らしい。」

「は?」

「よく分からんが病気の治療薬が開発されたからとどこまで効果があるか知りたくて病原菌をつめたウィルス爆弾なるものを王都に砲弾しようとしたとか。」


「…。」

まさかの生物兵器登場である。
もしやっていればただのテロリストだ。

「植物のように人間も食物を取らなくても良く出来るんじゃないかと人体改造なんて禁術に手を出そうとしたかと思えば、今度は自分で水や肥料なんかも取れるよう手足を生やし自活する植物を開発したとか。」

「…想像するだけでおぞましいね。」

そんな植物見かけたら悲鳴だけでは確実に済まない。

「自分の手足として使える人間を育てる為にスラム街で孤児を拾って育てて、今やその孤児達は他国の王宮にも忍び込んでる上に我が国の王宮の至る所に大量に忍び込んでワインスト嬢に情報を流してるとか。」

「…。」

そう言えば魔道具開発部にいる彼女はどうやって土砂崩れについて知ったんだろう?

起こったのは3日前の夕方で報告が入ったのは夜なのに確か彼女は3日前に知ったと言っていた。

…いやたまたまだ。

考えたら負けだ。

「国立魔術学院で特別講師として行った時に幼過ぎて生徒に馬鹿にされ悔しかったらかかって来いと言われ、無表情で生徒を魔道具で拘束してそのまま剣で首を落とそうとして駆け付けた職員達に止められたとか。
まあこれは始末書も提出されてるから噂ではないな。」

…もう何も言うまい。

「まあ魔術師としての腕は確かだし魔道具を作らせれば敵無し。
幻を見ているかと思うような結果を出すから幻影。
ただどうも人として色々危ないから親元を出てからは塔に住まわされてるって事で幻影の塔の魔女って呼ばれてるってわけだ。」

…自分はまさかかなり危険な人間を選ぼうとしているんじゃないだろうか。

ルシウスが頭を抱えるとレオンが慰めるように肩を叩いた。

「大丈夫だって。
ただの噂かもしれねえしさ。
あっ噂と言えばもう1つ。」





ー魔女が顔を覚えるのは憎悪の対象になった者だけらしい。
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