黒魔術師と優しい戦鬼
路地を出て、敢えて人込みに紛れ歩く二人。
いつの間にやら定位置であるエマの肩に落ち着いていたライムの鳴き声も交えて、どこに行こうかと悩んでいた。
「ところで、君はあんなところで何を?」
「あ、えっと……私、明日が学院の入学式なんですけれど、王都なんて初めて来たものですから、ちょっとくらい慣れようかと散歩を」
「学院——もしかして、クリノス?」
「え? は、はい。クリノス学院の魔術科に、明日から——」
と、自己の紹介も兼ねた発言をしかけた矢先。
オーファンがエマの前に回り込んで向き合った。
「わぷっ!」
ふとして止まることが出来ず、頭から激突。
慌てて離れて見た表情は柔らかく、オーファンはふわりと笑ってみせた。
「何の運命なんだろうな、これ。まさか、後輩のことを助けることになるなんて」
「お、オーファンさん…?」
何が何やら。
それに、後輩とは。
エマの意識は少し鈍くなってしまう。
そんな胸中や知らぬオーファンは、きょとんと疑問符を浮かべるエマに言い放つ。
「俺、クリノスの出身なんだよ。それも、魔術科のな」
いつの間にやら定位置であるエマの肩に落ち着いていたライムの鳴き声も交えて、どこに行こうかと悩んでいた。
「ところで、君はあんなところで何を?」
「あ、えっと……私、明日が学院の入学式なんですけれど、王都なんて初めて来たものですから、ちょっとくらい慣れようかと散歩を」
「学院——もしかして、クリノス?」
「え? は、はい。クリノス学院の魔術科に、明日から——」
と、自己の紹介も兼ねた発言をしかけた矢先。
オーファンがエマの前に回り込んで向き合った。
「わぷっ!」
ふとして止まることが出来ず、頭から激突。
慌てて離れて見た表情は柔らかく、オーファンはふわりと笑ってみせた。
「何の運命なんだろうな、これ。まさか、後輩のことを助けることになるなんて」
「お、オーファンさん…?」
何が何やら。
それに、後輩とは。
エマの意識は少し鈍くなってしまう。
そんな胸中や知らぬオーファンは、きょとんと疑問符を浮かべるエマに言い放つ。
「俺、クリノスの出身なんだよ。それも、魔術科のな」