お試しから始まる恋
 それから三ケ月。

 颯は冬子の事を調べていた。


 冬子は友達を作らなかった事で、情報が少なかった。


 だが冬子が大学に進学して、検察局で働いているという情報を入手した颯は、早速検察局に行ってみた。

 
 すると、検察局方面から出てきた冬子を見かけた。

 相変わらず地味なグレーのスーツを着て、大きな黒縁メガネをかけている冬子。


 
 やっと見つけた思いが込みあがった颯は、想いより先に体が動き、気づいたら冬子を引き留めていた。



 冬子は驚いた目をして、また逃げようとしたが、颯がギュッと抱きしめて捕まえた。


「何で逃げるんだ? 俺、なんかしたのか? お前に」

 抱きしめられた腕の中で、冬子が震えているのに気づいた颯は、そっと冬子の頭を撫でた。


 すると、冬子の震えは次第に収まって行った。


「驚かせてゴメン。ちゃんと、話しがしたくてずっと探していたんだ」


 怯えるように俯いてしまう冬子を見ると、颯は胸が痛んだ。


「・・・試しで構わないから。俺と、付き合ってもらえないか? 」


 はぁ? 

 驚いて、冬子はまた震えだした。

 見かねて颯はギュッと、冬子を抱きしめた。


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