俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛

昼休みに入ると、今日は電話当番だったので愛海とともにお弁当を持って来て事務所で食べることにした。ふたりだけになった室内は朝の静けさを取り戻したよう。

「あー、やっぱりあの人いると肩凝る~。担当の会社がなければちょっと楽なんだけどなぁ」

笹倉さんのことを“あの人”と表現し、ぼやきながら愛海は首をグルグルと回していた。

その間にスマートフォンのメッセージアプリを起ち上げ、広瀬さんからの返信を確認する。仕事が始まる前に【タクシーでちゃんと家まで送ってもらったことにしてほしい】とメッセージを送っていた。

返信はすぐに届いていて、【おっけー】のひと言のみ。あまりにも飲み会のときの弾けたイメージと違っていて困惑してしまう。ホテルでなにか気に障ることでも言ってしまったのだろうか。

キスは向こうからで、私も受け入れた。そのあとは寝てしまったから覚えていないけれど、唯一心当たりがあるとすれば、広瀬さんが私になにもしなかったことに対して「意外」と言ったことくらい。何気なしに言ったけれど広瀬さんは悲しそうな顔になって、その表情にドキリとした。

「あ、そういえばさっきの上崎さんなんだけど、私と百音が同じ職場だって話したらすごい喰いついてきたから、どこで働いているかって伝えてるよ」

ピンク色の小さなお弁当箱から卵焼きを箸で摘み、頬張りながら愛海が教えてくれる。

< 33 / 123 >

この作品をシェア

pagetop