笑顔でいいの?
「……………………ただいま。」

小声で挨拶をして

圭ちゃんの後を、小さくなって追っかける。

一足先にキッチンに入った圭ちゃんに

「先にシャワーを浴びてこい。」と言われ

これから長いお説教が待っていることを覚悟する。

相変わらず『カラスの行水』な私は

圭ちゃんが淹れてくれる、コーヒーよりも早い。

「ちゃんと髪を乾かせ。」と、いつものお小言をもらい

少し安心して、ドライヤーを使う。

乾いた髪を解かして

最近買ってもらったポンチョ式の上着を羽織ると

コーヒーを淹れて待つ、圭ちゃんのもとに急いだ。

「座れ。」

ソファーをポンポンと叩いて示してくれたから………

床に座って、反省はしなくて良いみたい。

それでも、乱暴な言葉使いに怒りを感じる。

いつもは、こんな命令口調じゃないのにな。

落ち込む私に

「この、酔っぱらい!」とデコピン。

「圭ちゃん、痛いよぅ。」

涙目で見上げると

「飲むなとは言わない。
門限を過ぎることもある。
けど!!
携帯には出ろ!
帰る前に電話を入れろ!
電源オフにするな!
………………お前は、女の子だぞ。」

「はい。」

「遅くなるなら、俺かささが迎えにいく。
一人で帰るな。
お前は、この間までのような一人じゃない。
心配する家族がいるんだ!
シッカリ覚えておけ。」

圭ちゃんが怒っていたのは……………

遅いことや飲んでたことじゃなかったんだ…………。

家で待つ家族が心配ことを、分かってない私を

………怒ってるんだ。
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