笑顔でいいの?
「……………………聡君?………………。」

戸惑う母親に

「お義母さん。
実は先日、咲々と二人で
こちらの圭哉さんと咲に逢ってたんです。
咲々と二人…………話し合い
咲とお義母さん、お義父さんで逢ってもらおうと………。
そこで、圭哉さんに相談して来ていただきました。
さあ、どうぞ上がって下さい。
咲々も中で待ってます。
お義父さんも、もう少ししたら帰って来られるので。
咲、自分の家なんだから遠慮しないで入っておいで。」聡兄に誘われたけど

自分から出ていった身としては、とっても敷居が高い。

母親の顔を見る勇気すらない私は………

うつ向いてじっとしていた。

「咲ちゃん、おかえり!」

ひときわ明るい声が、緊張感のある玄関に響いた。

「………咲々。」

「もう、遅いよぅ。
ずっと待ってたんだからね!!
ほらっ!上がっておいで。
ケーキも聡ちゃんに買って来てもらってるんだよ。
お母さん、お茶にしよう。
圭哉さんもどうぞ。」

咲々の仕切りに、動き始めた時間。

「あっ、あっ……………そうね……………。
えっと…………あっ………………。」と

まだまだ落ち着きを取り戻してはいないものの

お母さんも頭を働かせ始めた。
< 69 / 102 >

この作品をシェア

pagetop