今宵、貴女を頂戴します〜探偵VS怪盗〜
ユオがわざと届かない場所の本を選んだのかとアリスは一瞬焦ったが、はしごが置いてあったので安心する。はしごに足をかけ、その本を手に取った。ドイツの歴史について書かれた本だ。

地面に降りると、最初から一ページずつアリスはめくっていかずに最後の方からページをめくっていく。目次も、書いてある内容もドイツ語なのでわからない。

パスワードが書かれたページは、十五分ほど探して見つけることができた。1989年、ベルリンの壁が崩壊した時のページ。

そのページの端の方に、本文とは全く関係ないドイツ語が書かれていた。『Rache』ーーードイツ語で復讐。

アリスはすぐにそのパスワードを打ち込む。すると、ゴゴゴという音を立てて鉄の扉が開いた。アリスはすぐに扉の中へと飛び込む。

扉の向こうは、螺旋階段になっていた。階段を登るたびに、アリスの頰に外の風が触れる。どうやら屋上につながっているようだ。

アリスは高鳴る胸に手を置きながら、階段を登った。



アリスが予想していたように、螺旋階段は屋上へとつながっていた。

広い屋上に来て、アリスは初めて自分のいる場所を知る。館の周りは森で囲まれていて、館から逃げ出しても遭難するのがオチだとアリスは思い知らされた。
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