今宵、貴女を頂戴します〜探偵VS怪盗〜

「お見事！よくここまで来れましたね。私としては残念なのですが…」

わざとらしく拍手をしながら、ユオが姿を見せる。その首には、部屋で見た時に付けられていなかった紫の宝石があった。

「その宝石は何？部屋ではなかった」

アリスがそう言うと、ユオは「これですか？今月が自分の誕生日だったので、盗まずに買ったんですよ」と微笑む。

しかし、アリスは「嘘ね」とにこりと笑って言った。

「あなたの付けているネックレスの石は、アメジスト。アメジストは二月の誕生石。今は九月よ」

アリスがそう言うと、ユオは「あ〜あ…。手に入れられるかと思ったのに…」と苦笑いをしてアリスに近づく。

「これはあなたが持っていてください。私のことを忘れないように。……あなたの誕生日は、二月二十三日ですから」

「そんなことまで調べたの？」

驚くアリスに、ユオはアメジストのネックレスを付ける。月明かりに照らされて、アメジストがきらりと煌めいた。

「では、お嬢様を家まで送ります。しっかりつかまってくださいね？」