恋愛王子の落とし方

記憶喪失

ヒナタside

悪夢は突然やって来た。

「カナ!おはよ」

「あなた誰?気安く話しかけないで」

カナの目は冷たいもので、俺を無視してスタスタ歩いて行ってしまった。

何が起こったんだ?

俺は硬直した。

状況が把握出来ず、何も分からず。

これはおかしいと思って、カナのお母さんに話すことにした。

こんな冷たいのは初めてだし、何か理由があるはずと思って。

家に行くと、お母さんが快く迎えてくれた。

今朝のことを話すと、お母さんは驚いていた。

「変ね、私のことは覚えてるわよ。それに今朝も友達の話をしてたし。もしかして、ヒナタ君のことだけ忘れてるとか?」

俺だけを忘れる?

そんな馬鹿なことがあっていいのか?

信じれるはずもなく。

「今日、病院に行ってみるわね」

お母さんも心配しているようだ。
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