きっともう好きじゃない。


「その自信はどっから出てくんのかな、和華」


「わたしの好きは、すごいからね」


ふふん、と鼻を高くしてみせると、まおちゃんはわけがわからないって顔をする。

わからなくていいよ。わたしと、由麻ちゃんだけが知っていたらいい。


「あ」


「今度はなんだよ」


「どうしてまおちゃんが家にいるの?」


びっくりしすぎて、落ち着く時間もなく追い詰められて頭からすっぽ抜けてた。

なんだそんなこと、ってまおちゃんは言って、わたしを解放した。

締め付けられていたところがジンジンする。


「明日帰るって伝えてたのに、薫が今日帰ってこいって言うから」


「電話で?」


「いや。和華のスマホから」


「……そんなの、知らない」


けど、これは前にはやられた手口だからよく覚えてる。


「また履歴消されたな」


わたしになのか薫になのかわからない呆れを漏らして、まおちゃんがスマホを見せてくれた。


「なんか、まおちゃんの名前だけ最新のところにあるなあって思った」


「そこで気付けよ」


そうだね、これからは気をつける。

薫にこんな根回しをさせなくても、まおちゃんと話すようにする。


だから、ねえ、そろそろ。


「まおちゃん、いいよ」


1年前とは逆だね。

言っていいよ、いつでも、まおちゃんのタイミングで。


聞かせて、と背伸びをして少しでも近くにまおちゃんの声を拾いにいく。


まおちゃんはわたしを黙って見下ろしていたけど、薄く開かれたくちびるに視線を奪われた一瞬で間合いを詰めて、耳にくちびるが当たる。


「和華、俺は」


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