大人になれない。
2ヶ月ほど経って
お姉さん夫婦の所から出て
父と住んでいたマンションの近くの
アパートに母は部屋を借り
母と私の2人の生活が始まった。
母は当時
確か東京ガスのガスの検針の職に就いて
方向音痴の母はなかなか帰れず
保育園のお迎えはいつも遅かった
毎日のように
友達は時間になれば親が迎えに来て
ばいばいするなか
私だけいつも最後で
広い部屋で1人で母の迎えを待っていた。
保育園の先生は近くに居ても
他の子供達が居ない保育園は静かで
寂しかったのを覚えてる。
あまりにも母の迎えが毎日遅いもんだから
1度だけ保育園の出入口にある大きな柵を
よじ登って保育園を脱走して家に帰った事があった。
その日は母に
「今日は早く迎えに行くからね」
と言われていたのに
友達の両親は次から次へと迎えに来るのに
私の母はちっとも迎えに来なくて
我慢をしきれなくなって
保育園を脱走した
部屋をあけると母は電話をしながら
掃除機をかけていて
物凄くびっくりした顔だったのを覚えてる。
その後の記憶は無い。
家に1人で帰った満足感と
保育園から抜け出せた解放感しか記憶が無い。
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