大人になれない。
それからしばらく経って
私は保育園を卒園して小学一年生になった頃
母にまた新しい男ができた。
母と住むアパートの近くに住んでいる男だ。
母と住むアパートから
その男の家の部屋が見える距離。
塀をとびこえたらすぐの距離。
この男だけは忘れない。
何があろうと忘れはしない。
絶対に忘れない。
忘れたくても忘れられる筈がない。
私の子供時代を見事に無駄にしてくれた男。
こいつだけは絶対に忘れない。
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