明日からの使者
「蚊?そんなもん、叩いとけ。武内なら瞬殺だろ?」
不意に現代文の先生が、教科書で必死に笑いをこらえながらそう言った。
その先生の言葉で、教室中に笑いが沸き起こる。
確かに蚊は一発で仕留めるの得意だけど…
…って、
ちょっと!!
『瞬殺』って何よ!?
誰も異変に気付かなかったトコからして、
煙もどうやら私だけが見た幻だったみたいだし…
何か、急に恥ずかしくなった…。
「あ…、いえ、すみません、トイレ…。」
とりあえずその場から逃げたかったので、みんなの笑いが一通り終わったところで、私はしどろもどろ先生にトイレを申し出た。
「なんだ、トイレかよ。腹痛いのは分かるけど、あんまり変な叫び声出すなよ。すぐ戻れよ~。」
再び呑気な声を出しながら、先生は教室のドアを指差して、私にトイレを許可してくれた。
同時にクラスのみんなは含み笑いを残しながら、教科書に視線を移し始めた。
ふぅ…。
何とかごまかせた…(かな?)