闇に溺れた天使にキスを。



「また信じてない顔してる」

小さく笑った神田くんを見て、何故だか肩が震えた。

気のせい、かな。
少し彼が危ないような気がするのは───



その時。
彼が突然、メガネを外しだした。


「神田くん……?」

不思議な行動。
メガネを拭くわけでもない様子なのに、どうして。


「俺さ、実はかなり目がいいほうなんだよね」
「……え」


彼はメガネを机の上に置き、少し身を乗り出した。


「真面目に見えるって理由だけでメガネかけてる。だから正直、外したほうがよく見えるんだ。

ほら、今だって───」


神田くんの綺麗な親指が、私の唇の形をなぞる。

体がピクリと反応し、急激に体温が上昇するような感覚に陥った。



「白野さんの顔が、はっきり見える」

優しい瞳の奥に、危ない光が宿っていて。
シルバーのピアスすらも、ギラリと輝いた気がした。

獣のような、どこか野性的に見える彼。

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