闇に溺れた天使にキスを。



「最近来てくれないから寂しい、とも言ってたよ」
「そ、そっか…すっかり忘れてたや」


神田くんと初めて話した日から、色々ありすぎていつもの日常感覚に戻れないのだ。

そのため図書室にも行っておらず、思い出せば久しぶりに行きたくなってきた。


「明日の放課後にでも行くね、ありがとう」
「白野さんが行くなら、俺も明日行こうかな」

「え……」
「先生だけじゃなく、俺にもたくさん本の話聞かせて」


本の話…けれど、私がする本の話なんて面白くないだろう。

「で、でもつまらないと思うし…」
「どうして話す前から決めつけるの?そんなことないのに」


だって、本の話をしたらみんなに『つまらない』と言われてしまった。

そのため、また“つまらない”って思われてしまうのが怖い。

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