あの空を飛ぶ鳥のように



「女王様、天ノ川の皆様をお連れしました」

「ありがとう。下がって良いぞ」

「かしこまりました」

お城に着き、謁見の間に入ると薄紫のフワフワしたドレスを来た女王様が椅子に座っていた。女王様は微笑み、警備兵に下がるように促す。

部屋を出ていった警備兵を見た女王様は、笑みを崩さずに私たちを見つめる。しかし、その目の奥には焦りもある。

「姫がさらわれた事件は知っておるな?」

最近、この城に住む姫様が人間の知能を持った魔王にさらわれた、というニュースがこの街で流れている。

「はい」

「先ほど、わし宛にこんな手紙が届いたのじゃ」

女王様は、私たちに手紙を渡す。その手紙には、こう綴られていた。


この城の姫は私が預かった。返して欲しくば魔王城まで来るが良い。


私たちは、その手紙を読みながら驚いていた。

「そこで天ノ川の皆に頼みがある。姫を助け出してくれぬか?」

――黒猫が現れし時、異世界から魂が飛んでくる。その人物は、やがてこの世界の光となるだろう。

長老が言っていた言い伝えを思い出し、私は「分かりました。私たち、天ノ川が姫様を救い出します」と真剣な顔で女王様を見つめた。
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