インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
結婚式の話が済むと、尚史は私の両親に「相談しときたいことがいろいろあるから、今日はモモをうちに泊めてもいい?」と尋ね、両親から許可を得たあと、着替えなどを用意して尚史の家へ行き、尚史の両親と一緒に夕飯を食べながら結婚式の話をした。

「ちゃんとした結婚式はそれとは別に挙げるんでしょ?」

洋子ママに尋ねられると、尚史は首をかしげながら私の方を見た。

「友達とか親戚とか呼んで披露宴なんかもしたくない?モモちゃんはお色直しで可愛いドレス着たいわよね?」

結婚式に呼びたい友達なんてほんの数人だし、親戚だって、母には兄弟がいないし母の両親はもう他界しているから、招待するとすれば伯父さん家族くらいだ。

生い立ちや二人の馴れ初めを紹介されるのもなんだか恥ずかしいし、両親への手紙なんかをかしこまって書いたり読んだりするのも照れくさい。

それに既婚者の同僚から、結婚式の準備は何かと大変だと聞いて面倒そうだとも思っていたから、わざわざ大金をはたいてまで盛大な結婚式を挙げる必要はないような気がする。

「俺はそういうの別にいいかなと思うけど……モモが式場とかでちゃんとした式を挙げたいって言うなら」

「私も別にしなくてもいいかな」

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