インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
自分では色気があるなんてまったく思ったことはないのに、尚史の目からはそう見えていたんだと思うと無性に恥ずかしい。

色気なんて尚史の方がよっぽどあるじゃないか。

今朝だってあんな切なそうな顔で……。

ダメだ……必死で忘れようとしていたのに、また思い出してしまった。

私の頭の中は遅れてきた思春期か?

いや、どちらかと言うと発情期か!

だけど今は二人きりだし、私からっていうのはちょっと恥ずかしいけど、私たちは夫婦なんだから、思いきり抱きついてキスしたいのを我慢する必要なんかないよね?

「そういえば……昼間にモモが『家に帰ってから言う』って言ってたあれ、なんだったんだ?俺、ずっと気になってて」

思いきって尚史の背中に手を回そうか、恥ずかしいからやっぱりやめておこうかと悩んでいると、尚史が私の頭を撫でながら尋ねた。

尚史は私の心が読めるのか?

ちょうど今、外でのバカみたいな激甘トークを禁止した原因となった衝動を解放しようとしていたところだよ!

私は思いきり尚史に抱きついて、尚史の唇にキスをした。

突然の私の奇行に驚いた尚史は、目を大きく見開き指先で唇を押さえている。

< 466 / 732 >

この作品をシェア

pagetop