インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
サプライズはビックリさせてなんぼですが、予期せぬカミングアウトは歓迎しません
火曜日の仕事が終わったあと、尚史と一緒に不動産屋に行ってすべての手続きと入金を終え、部屋の鍵を受け取った。

これから掃除をしに行くつもりだと話すと、本木さんが「でももう暗いので電気が必要でしょう?照明器具を取り付けないと電気がつきませんよ。その前にまずは電力会社に電話してくださいね。水も使うと思いますので、水道局にも連絡する必要があります。大家さんに連絡して引っ越しの日も伝えておいた方が安心ですね」と教えてくれた。

これまでは親の家に住まわせてもらい、電気がついて水が出て、必要なものが手元にそろっているのが当たり前だったけど、家主さんから部屋を借りて新生活を始めるにはいろいろな手続きや準備が必要なのだと知る。

電力会社と水道局と大家さんには翌日の午前中に尚史が連絡することになり、掃除には行けないので買い物に行くことにした。

一度尚史の家に戻って車で駅前の大型スーパーに行き、スマホに入力したメモを頼りに売り場をまわる。

掃除用品だけでもたくさんの種類があって、普段は買うことがなかったから、何を基準にどれを選べばいいのかがわからない。

二人であーでもないこーでもないと言いながらなんとか買い物を済ませたけれど、今まで親に頼りきって生きてきた私たちは、相当な世間知らずなのだと気付いた。


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