インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
4年生にもなるとおませな女子の間では、誰が誰のことを好きだとか、あの二人は両想いだなどという恋バナが話題の中心になった。

その頃尚史はまだ私より背が低く、女の子のように華奢で可愛らしい顔をしていたから、可愛い男子が好きな女子の間では常に人気があって、幼馴染みの私は尚史のことをよく聞かれていた。

『モモちゃんは中森くんと仲良しだけど、やっぱり両想いなの?』と聞かれたことも一度や二度じゃない。

尚史とはずっと仲が良かったし好きだったけれど、恋とか両想いとか言われても私にはその意味がわからなかったから否定したんだと思う。

「あの頃って思春期の始まりだよねぇ……。やたら男子と女子が対立するようになって、それなのに女子が急に男子を意識するようになったというか、それしか考えることはないのかってくらい恋バナばっかりしてたから、正直私はついていけなかったよ。尚史との仲を取り持ってくれって頼まれたこともあるし」

「女子はそんな感じだったんだな。俺はうるさい女子が苦手だったのに、モモがやたら他の女子と俺を仲良くさせようとするから、なんか変だなと思ってたんだ」

通りすがりの高校生に思いがけず淡い夢を打ち砕かれた尚史は、私への『好き』という気持ちは幼い頃に植え付けられた勘違いみたいなもので、いつか大人になったら私よりもっと好きな人ができるのかなと思ったそうだ。

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