インスタント マリッジ~取り急ぎ結婚ということで~
子どもの頃の話とは言え、夫のファーストキスの話を聞くのはちょっと複雑な気もするし、初めての経験の相手がまたしても私じゃないことが悔しくてモヤッとする。

……いかんいかん。

どうして私はこうも嫉妬深いのだ。

尚史のこととなるとすぐに冷静さを保てなくなる。

ちょっと心を鎮めようとビールを飲み干して立ち上がり、冷凍庫の中からラムレーズンのアイスを取り出してリビングに戻る。

スプーンで多めにすくったアイスを口に入れて飲み込むと、冷たさがゆっくりと喉を通り抜けた。

「って言うかさ……この話、今必要な流れだったっけ?」

少しムッとしながら尋ねると、尚史は笑いをこらえて私の頭をグリグリと撫で回した。

「俺がモモを好きだって自覚した話の前置きとして、必要だから話したんだけど……怒った?」

「……怒ってない。続けて」

「中2になる前の春休みに、うちとモモんちで一緒に温泉旅行に行っただろ?」

「ああ……行ったね。2泊3日だったかな。温泉がすごく大きくて、料理も豪華だった」

「遊園地で一緒にいろんな乗り物に乗ったり、水族館に行ったりして楽しかったよな」

< 725 / 732 >

この作品をシェア

pagetop