雨上がりの恋
「私がネギ嫌いって知ってるよね。しかも近づけすぎだって。ううっ…」

鼻にくっつきそうなその距離のせいで、鼻腔まで苦手なネギの匂いに侵さていく。

「あ、ごめん!美優が好きなのはこっちだったね。」

と今、思い出したかのような口ぶりの千秋に手渡されたつくねに一口かぶりつく。

塩胡椒のバランスが絶妙に効いたつくねの肉汁が、口の中いっぱいに広がり自然に声が出た。

「んんー…美味ひい。」

お皿に戻されると思ったネギマは、既に千秋の口の中。

続けてカウンター越しに受け取ったおかわりの生ビールを、ぐびぐびっと半分近くまで飲み干した千秋の食べ飲みっぷりは見ていて気持ちがいい。

上唇に白い泡ヒゲをつけた千秋は満足気に「ぷはぁ…最高!」と声を上げた。
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