雨上がりの恋
一通り飲んで食べた千秋は、今度はメンソールのタバコに火をつけた。

「で、今回は何がどうしてそうなったわけ?」

フーッと誰もいない壁側に煙を吐いた千秋が、私を振り返る。

よくぞ聞いてくれました!という思いと、とうとう聞かれてしまった!という複雑な思いが入り混じる中、重たい口を開いた。

「うん…まぁ実は、元カノが出てきて…」

「え…嘘、またそのパターン?」

普段は大人の色気を感じさせるキリリッとした切れ長の千秋の目が、驚きで一回り大きく見開かれた。

「…うん」

千秋が驚くその気持ち、凄くよく分かる。

だって私が一番驚いてるから。

これほどまでに男運がなさすぎる自分自身に。
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