罪あることの荒唐
「良くなるどころか、私の目からは悪くなっているように見えました」

「──帰る」

「え?」

 よく聞こえずユタは聞き返す。

「帰る! ジル! 今すぐ帰ろう!」

「ちょ!? おいツム! やめろ」

「ハツムギ様! いけません」

 そうだ──王女の名はハツムギだ。娘の幸せを願ってつけられた名前。そこから仮の名をツムにしたのか。

 ユタは思い出し、ツムの腕を掴んで止めるジルファリドを視界全体で捉えた。

「いま、戻ったとしても追い返されるか。悪くすれば命を奪われかねません」

 とにかく、摂政は信用できない。今も王女を探しているはずです。

「今は耐えてください」

「父上……必ず、助けるから」

 ツムは体を震わせ、ジルファリドの腕にしがみついた。



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