未来の約束
「ここじゃ、何だから・・・とりあえず、(部屋の中)入って」


どこか都合の悪そうな美和の言葉に従い、お邪魔する。


「適当に座って。コーヒーで、いいよね?」

「あ、あぁ」


そしてマグカップを2つ手にし、美和が戻ってくる。


「どうぞ」

「サンキュー」


面と向かうと、何をどう話していいかわからなくなる。


「どこまで、樋口に聞いたの?」


揺れる瞳で、尋ねられる。


「樋口さんは、美和のお姉さんの旦那さん」

「そう。それと、口煩いあたしの担当医」

「良い人だな」


俺の言葉に、フッと小さな笑みを溢す。


「良い人、か。強ち間違えじゃないけど、誰にでも良い人だから大嫌い」


大嫌いと言いながらも、嫌いになれずに美和は苦しんでいるのだろう。

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